
今回はEPOMAKERの「Magcore 87」のレビューになります。
EPOMAKERさんから商品提供を受けています。レビュー機会を頂きありがとうございます。
いつも通り、忖度なしのレビューをしたいと思います。
epomaker.com
この「Magcore87」は最新技術である誘導スイッチが採用されたキーボードとなっています。
コントローラーにおいても、ホールエフェクトスティックのアップグレード版であるTMRスティックが登場しています。Mojhon(旧BIGBIGWON)の「Blitz2」に搭載されていましたね。
キーボードにおいても同様に、これまでの磁気スイッチのアップグレード版という位置付けで、次世代スイッチが登場したという感じです。
この誘導スイッチが搭載されたキーボードはまだ少なく、私が調べた限りですが、BLACK SHARK Inductive Switch RT、Ducky One X、AESCO A67/A83、このmagcore 87の4製品のみです。(執筆時)
現在は、EPOMAKER公式サイト、EPOMAKER Store(AliExpress)で購入可能です。
- 公式サイト EPOMAKER Magcore 87
- AliExpress(EPOMAKER Store) EPOMAKER Magcore 87
まだAmazon.jpでの取り扱いはありません。
では誘導スイッチを搭載したキーボードがどのような製品になっているのか、以下に詳細を見ていくことにします。
それではレッツゴー!
スペック
(公式サイトより引用)
| Brand | Epomaker |
| Model | Magcore 87 |
| Layout | TKL ANSI US Layout |
| Number of Keys | 88 Keys |
| Connectivity | Type-C Cable |
| Compatibility | Mac/WIN |
| Case Material | Aluminum |
| Flex-Cut | No Flex-Cut |
| Stabilizers Type |
Aluminum Alloy Plate. (Compatible with Screw-in Stabilizer) |
| Mounting Structure | Gasket-Mount |
| Feet | No |
| PCB Thickness | 1.2mm |
| Plate Material | FR4 |
| Sound Dampening | Silicon Sandwich Foam/IXPE Switch Pad/Bottom EVA Foam |
| Keycaps Profile | Cherry Profile |
| Keycaps Material | PBT Plastic |
| Keycaps Manufacturing technique | Double-Shot |
| Switch | Inductive Switch |
| Hot swappable | Yes, with Inductive Switches, not for 3-pin/5-pin mechanical switches |
| RGB | South-facing, per-key RGB |
| Polling Rate | 8000Hz |
| Scan Rate | 32khz per key |
| Latency | 0.125ms |
| Anti-Ghosting | N-Key Rollover |
| Keyboard Dimensions | 357*136 *40mm |
| Keyboard Weight | around 2kg |
開封と中身
箱

付属品
USBケーブル、キーキャッププラー、交換用キーキャップ、予備スイッチ、六角レンチ、取扱説明書

本体
オーソドックスなTKL配列です。


いくつかのキーキャップが透明になっています。
BackSpace・Enter



交換用キーキャッを取り付けると、黒一色の落ち着いた印象になります。

背面はシンプル 。スタンドはありません。

刻印されたメーカーロゴがいいですね。

横から見るとこんな感じ。

上部中央にUSB接続部のみ。有線接続だけですからね。

重量は1,824gとズッシリ。

キーキャップの品質に問題はありません。

2種類ともに1.4mmの厚さ。


キースイッチはKaih Box Inductive Switchです。このキーボードの注目ポイントですね。




ソフトウェア
こちらからダウンロード可能です。
Button
キーマッピングを設定できます。
レイヤー設定は見当たりませんでした。ちょっと不便ですね。

Lightning

Macro

Travel Distance
いわゆるラピッドトリガー設定です。0.01mmから設定可能です。

Dynamic Keying
様々な機能が設定可能です。Mod Tapもありますね。


使用感レビュー
デザイン・機能
TKL配列はそれなりのサイズ感はありますが、無理のないレイアウトになるので安心感がありますね。
それから、透明なキーキャップの品質がとても良いです。

かなりクリアに透過するのでRGBライティングがめちゃくちゃ綺麗です。
この透明のキーキャップだけで別のキーボードを仕上げて欲しいくらいです。
全体としてもこの透明のキーキャップがいいアクセントになっていると思います。
ゲーム機能
このキーボードはラピッドトリガーやSOCDといったゲーミング機能が充実しています。競技性の高いゲームにおいて有意に働くでしょう。
実際にAPEXで使用テストを行いましたが、何も問題なく使用することができました。
※普段はコントローラーでのプレイが基本ですので、詳細なところまでレビューできないのはご了承ください。
打鍵感・打鍵音
打鍵感と打鍵音ともに良いです。
接点がないという磁気スイッチ特有の滑らかさと、軽い押下圧で、かなり軽快なタイピングができます。このスムーズさは実際に触らないとわからないかもしれません。
系統としては磁気スイッチ特有のカタカタ系でありつつも、少しコトコト感があるという何とも絶妙な音です。カタカタ系なのですが、ノイズ的ではなく、ハイピッチの聞き心地の良い音になっています。
この何とも言えない打鍵音は通常のメカニカルキーボードでは再現できない、誘導スイッチならではの心地良いサウンドだと思います。
以前レビューした磁気スイッチを採用したHE68と比較しても、Magcore87の方が良い打鍵音ですし、通常のメカニカルキーボードとも、それなりに勝負できるでしょう。
「磁気スイッチを搭載したモデルの中で」という前提条件なく、良い打鍵音のキーボードだと思います。
▼打鍵音を収録しています▼
▼(比較用)HE68の打鍵音▼
気になるポイント・要望
誘導スイッチについて
これまでの磁気スイッチのアップグレード版ということですが、どこまで優位性があるのかは私には分かりませんでした。打鍵音に関しては、筐体との相性もありますが、今回はとても良かったです。
温度や湿度からの影響を受けにくくなった事や、より精密な操作が出来るようになっている事は、競技プロゲーマーにとっては重要なアップグレードですが、一般ユーザーにとっての恩恵はそこまで無いのかもしれません。
ソフトウェアが未完成
全体としてスタイリッシュで良くできたソフトウェアだと思いますが、未完成ですね。
まず、個人的に致命的だったのは、 Caps LockにLCtrlを設定しましたが、機能しませんでした。それはLShiftに設定しても同様です。
それから、レイヤー設定ができないことも自由度が低いように感じます。せっかくMod Tap機能があるのに、レイヤー移動ができないので勿体ないですね。
このキーボードが有線接続のみということからも、ゲームでの利用を中心に考えられていると思いますが、キーボードという製品の基本的機能である"タイピング"における機能が不足しているのは残念ですね。
以上のことは既に担当者さんにお伝えしています。「現在はゲーミング機能に特化していおり、今後アップデートで対応される」とのことでした。
「ゲーム用途と作業用途でキーボードを使い分ける必要がなくなるだろう」と期待をしていたのですが、現時点ではそれは叶いませんでした。
今後のアップデートで「この1台あればゲームでも作業でもバッチリ!」という万能キーボードになることに期待しています。
配列について
ゲームに特化したということですが、それならなぜTKLなんだ?という素朴な疑問はあります。競技性の高いFPSゲームなどでの利用を想定しているはずなのに、マウスの可動域を狭めてしまうこのサイズを選択したのは何故なのでしょうか?
今後60~75%配列のコンパクトモデルが発売されると良いですね。
価格
公式サイトにおける定価は US Store:$199.99(JP Store:30,000円)ということで、EPOMAKERのキーボードとしては比較的高めの価格設定です。(為替の影響もあります)
気軽に購入するというわけにいきません。しかし、これは誘導スイッチという最新技術を搭載したキーボードの先駆けとしての価値はあるのでしょう。
格安のラピットトリガー搭載キーボードが登場しているように、今後この技術が普及していくにつれ、もっと製品自体もアップグレードされ、そして買いやすくなるのではないでしょうか。
新キースイッチへの期待感
Magcore 87に採用されている誘導スイッチはKaih製のキースイッチです。この先進的なキースイッチがEPOMAKERに早々と採用されていることは、とてもポジティブに捉えています。
今後のKaihとのコラボされた新しいキースイッチの登場に期待しています。
私の勝手な要望にはなりますが、Kaih製のキースイッチを採用した、65%配列のロープロファイルキーボードを販売して欲しいですね。もちろん技適取得済みで。
まとめ
今回はMagcore 87のレビューをしてきました。
良かったポイント
- 最新技術の誘導スイッチ
- 快適なタイピング体験
- 充実したゲーム機能
- 心地よい打鍵感と打鍵音
微妙だったポイント
- 80%配列
- 高めの価格設定
- ソフトウェアが未完成(キーマッピングに制限がある)
最新技術の誘導スイッチを搭載しており、これまでの磁気スイッチでは達成できなかった打鍵感・打鍵音の良さを備えています。今後のアップデートにおいて、ゲームにも作業にもオールマイティに活躍できるキーボードとなるでしょう。
価格はネックになるものの、ゲーム用と作業用のキーボードを別々に購入する予算があるのなら、これ1台で済ませるという選択肢も良いかもしれませんね。
この先進的技術がさらに普及し、進化していく事でゲーム用と作業用という垣根がなくなり、今後、より機能的で万能なキーボードが誕生していく事を考えると、とてもワクワクします。
この記事を読んで、Magcore 87が気になった方は、是非チェックしてみてくださいね。







